テーマのきっかけ
こんにちは。
心理士の村田です。
今日のテーマは、タイトルにもあるように「考えること」についてです。
きっかけは友人の何気ない一言で、「(コロナ対策について)自分たちが考えても無駄。どうしようもない」というもの。
30代の選挙での投票率は約45%(世代別で最も高いのは60代の72%)。
30代の一会社員である友人が、政府の方針や世論について「自分がここで何か考えたって変わらないし、影響を与えることはできない。」と思うことはある意味仕方ないのでしょうか。
いや、やっぱり自分に関係ないと思うことであっても、考えることは大事なはず!という思いから、今回このテーマで書いてみることにしました。
それに、これからを創る30代の方には政治動向について興味を持っていてほしい・・・と思います。
考え方のヒント『7つの習慣』とは?
では、「考えても無駄」かどうかを知るために必要なことは何でしょうか?
このことを考えるために、今日ご紹介するのはスティーブン・R・コヴィー著の『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』です。
『7つの習慣』は言わずと知れた名著ですよね。1996年に日本語版が出版され、累計200万部以上を売り上げている『7つの習慣』の新訳版です。
この本は、著者自らの調査による、成功への不変の原則、自明の原則について書かれたものです。
物事への考え方や態度など、土台となってくれるものが多く含まれています。なので、今日すぐ使えるテクニック!というわけではないかもしれませんが、今回のヒントになってくれると思います。
(とはいえ、今回はほんの少しのエッセンスしか取り上げていないので、ぜひ本書を手に取り、他の内容も読んでみてください。)
自分の関心の輪と影響の輪を知る
それではさっそく、私が本書の中で参考になると思った「関心の輪/影響の輪」について、紹介していきます。
ぜひ一緒にやってみてください。
まず「関心の輪」として、円の中に、自分が時間とエネルギーをかけているものを書き出していきます。
そして、その中で自分がコントロールできるものを「影響の輪」の中に入れ、自分が影響を与えられるものとそうでないものを分類します。
自分の関心の輪と影響の輪が分類できたら、それぞれの輪のうち、主にどちらのほうに自分の時間や労力をかけているのか、確認してみてください。
影響の輪の中、つまり自分が影響を及ぼせる物事に働きかけることは、影響の輪を押し広げていくような、ポジティブなエネルギーにつながります。
反対に、影響の輪の外に注意が向いてしまう場合、外的な状況や人からの評価などを気にしてしまうような、ネガティブなエネルギーにつながりやすくなります。
影響の輪の外にあるからといって、エネルギーを割いたっていいじゃないか、大事なことだって含まれてるはずだ、と思うかもしれません。
しかし、影響の輪の外にある事柄にばかり注意を向け、自分が影響を及ぼせる物事をおろそかにしてしまうと、ネガティブなエネルギーが増え、その結果、影響の輪がより小さくなってしまいます。
確かに、2020年の5月頃、新型コロナウイルスについて未知の事柄が多く、テレビやニュースばかり見ていたときは、不安な気持ちも強くなり、時間もとられることで、その日すべきことやしたいこともコントロールしづらくなっていたかもしれません・・・。
時間も労力も有限ですもんね。
著者と彼の妻は最初、息子が学校でからかわれたり、他の子が息子につらくあたるのではないか、という「影響の輪の外」にあることに目を向けていました。しかし、それぞれの輪にかける労力の影響について知り、子どもへの対応を変化させました。子どもの力を信じ、何があっても息子を守る、という「影響の輪の中」にあること目を向けるようにしたのです。
その結果、息子自身が安定して自分の力を信じることができるようになり、成績や友人関係もよりよいものになりました。
影響の輪に注意を向けることで、よりポジティブなエネルギーを大きくすることにつながりました。
「考えること」について考える
ここで再度、最初のきっかけになった友人の言葉について考えてみたいと思います。
私自身、何かについて考えることが好きで、自分の関係ないことでも思いを巡らしてしまうことがあります。
そんな私だからこそ、友人の何の気なしに言った「考えてもしょうがなくない?」という一言が気になってしまいました。
今回紹介した2つの円に沿って考えると、友人の場合、政府の対応等に関してはおそらく関心の輪に入っておらず、マスクの着用などの個人でできる感染症対策が影響の輪の中にある、というような状態なのではないかと思います。
国から打ち出されたもの、会社から言われたことに対して、自分ではどうしようもできない、と思うことは当たり前かもしれません。
加えて、何かについて考えたり、変えよう(影響を与えよう)とすることって、結構エネルギーを使うんですよね。なので、ある意味、とっても健全だと思います。
ただ一方で、本当にそう?影響の輪に入れられることはないのか?と考えることも必要なのかなと思います。
メンタルケアとの関わり
今回紹介した2つの円は、1つの事柄についてずっと考えてしまう、他者から言われたことを長く引きずってしまい、疲れてしまう、という人にも有効ではないかと思います。
例えば「人から言われたこと」というのは、「関心の輪」には入ってきやすいですが、「影響の輪」の中には入らないんです。
影響の輪の外にあることについてエネルギーを使いすぎることで疲れてしまうんですよね。
私自身も、どちらかというと物事を批判的に考える傾向があるので、それってどうなんだろう?と今回みたいに考えてしまうことはよくあります。
そこで、私も日常的に「関心の輪」「影響の輪」の2つの円を意識するようにしています。実際に書いて整理することもあれば、「あれ?これって影響の輪の外かな?」と思ったり。単純なことのようですが、「これは影響の外にあることだから、そんなに一生懸命考えなくてもいいや、何なら影響の中になるんだろうか」と気づくことで、意外なほど楽になったりします。
皆さんもぜひ一度、実際に円を描いて試してみてくださいね。
(参考)
国政選挙の年代別投票率の推移について、総務省(https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/、最終閲覧日2021年1月20日)
スティーブン・R・コヴィー著、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社訳(2013)『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版
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