ストレスの基礎知識
こんにちは、村田です。
今回のテーマは、誰もが向き合う「ストレス」についてです。
ストレスってよく使う言葉ですが、ちょっとした考え方のコツ(知識)を知ることで、ストレスの感じ方や、どう対処したら良いかの見え方がガラッと変わってくるかと思います。
これは、気の持ちようだ!頑張れ!という精神論ではなく、心理学に基づいた「心の仕組み」の話です。早速お話ししていきましょう。
音声で聞きたい人は、スタンドエフエムでお話しているので、聞いてみてください。
1. 最も大切なこと:ストレッサーとストレス反応を分ける
まず、最も基本的で大切なことは、ストレスの原因となるストレッサー(出来事や状況)と、そこから自分の中に生じてくるストレス反応(感情、身体の不調など)を分けるということです。
例えば、「今日はすることがたくさんあってやばい、ストレスだ」という時。
- ストレッサー: することがたくさんある
- ストレス反応: プレッシャー、重荷に感じる、嫌だなという感情
「することがたくさんある」ということと、「それをストレスと感じるかどうか」は、イコールではないんですよね。
同じ出来事でも感じ方が違う理由
- A: あまり乗り気じゃない集まりの準備
→片付けや買い出しも重荷に感じて「ストレスだ」と感じる - B: 久しぶりの友達にも会える、すごく楽しみでウキウキする集まり
→同じ片付けや料理も、そこまでストレスとは感じない
このように、ストレスは外からの圧力(プレッシャー)とだけ考えるのではなく、その力をどんな風に感じ取るか、意味付けるかによって、影響が全然違ってくるのです。
2. ストレスの感じ方は「心のサングラス」で決まる
では、なぜ人によって感じ方が違うのでしょうか?
ストレスは、しばしば太陽の光に例えられます。光(ストレッサー)自体は、誰に対しても同じ強さで降り注ぎます。
しかし、その光を一人ひとりがどんな色のサングラス(認知的評価)を通して見るのかによって、光の感じ方、つまりストレッサーの感じ方が全然違うものになってくるのです。
光自体がすごく強いものでも、サングラスの色が濃ければ「大したことない」と感じられるかもしれません。
だからこそ、ストレスは外側の出来事ではなく、私たちがそれをどう受け止めるかというフィルターにかかっている、ということを知るのが大切なのです。
なぜ「気の持ちよう」ではないのか?
「結局、気の持ちようと言いたいの?」「耐えられない自分が悪いの?」というと、それは違います。
そうではなく、ストレスの感じ方は変えられるプロセスがあると知ることが、対処への第一歩になるからです。知識として知っておくことで、「ストレスは絶対的なものではなく、変えられる可能性がある」と捉えられるようになります。
3. ストレスの強さを決める「2つの質問」(認知的評価理論)
私たちが出来事を目の前にしたとき、頭の中で瞬間的に行っている2つの質問があります。これが認知的評価と呼ばれる心のプロセスで、ストレスの強さを決めています。
この仕組みは、心理学の有名な理論であるラザラスの認知的評価理論に基づいています。
質問①:一次評価(これは脅威か?)
「これは自分にとって脅威なのか?害があるのか?」という質問です。
- 「脅威だ」と評価された場合: 不安や怒りといったストレス反応が生じます。
- 「脅威ではない」と評価された場合: 問題として認識されず、ストレス反応は起きません。
質問②:二次評価(自分に対処できそうか?)
もし「脅威だ」と判断された場合、次に「もし害があるとして、自分には対処できそうか?」という質問に移ります。
これは、ストレッサーに対して、自分に対処する資源(能力、時間、サポートなど)があるのかどうか、という評価です。
- 「対処できる」と評価された場合: ストレス反応は和らぎ、解決策を探す建設的な行動が生まれます。
- 「対処できない」と評価された場合: 無力感や絶望感が伴い、最も強いストレス反応が生じてしまいます。
この2つの評価の組み合わせによって、ストレスと感じる強さや性質が決まるのです。
4. 具体例:ジェンダー役割が評価に与える影響
ここでは、ストレスの感じ方に社会的な背景(例えばジェンダー役割)が影響する具体例として、夫婦間のストレス評価の不一致を見てみましょう。
葛藤の場面:哺乳瓶の洗い方
母親は哺乳瓶専用のスポンジを使い、薬液に全体がしっかり浸かるように消毒したい。しかし、父親が他の食器と同じスポンジで洗い、薬液にも適当につけていた。母親は注意するが、父親には過剰なストレス反応に感じられる。
| 当事者 | 一次評価(脅威) | 二次評価(対処) | ストレス反応 |
|---|---|---|---|
| 母親 | YES: 衛生面が担保されない=子どもに害がある(脅威) | NO: 気が付かなければ対処できない(無力) | 強いストレス(怒り、不安) |
| 父親 | NO: きれいになったし、ちょっとくらい大丈夫(非脅威) | YES: 言われれば直せる(対処可能) | 低い(または、妻からの注意が脅威) |
ここで、母親のストレス評価を強めている背景として、「子どもの健康な成長への責任を自分が担わなきゃ」というジェンダー役割の影響があると考えられます。一方、父親側には「自分はできることを証明しなきゃ」という課題遂行能力への社会的な圧力が、母親からの注意を「ネガティブな評価」という別の脅威として一次評価に影響させている可能性があります。
このように、認知的な評価には、個人の感覚だけでなく、社会的な背景も影響を与えているのです。
5. まとめ:ストレスを感じたら自分に問いかける3つの質問
いかがだったでしょうか。
ストレスだなというふうに感じた時に、ただ我慢するのではなく、知識としてこの仕組みを使ってみてください。
もし今あなたがストレスを感じているなら、次の3つの問いを自分に問いかけてみましょう。
- 【ストレッサーの分離】:何が原因の出来事か?(出来事とストレス反応を切り分ける)
- 【一次評価の見直し】:本当にこれはそこまでヤバい脅威か?(冷静に危険度を評価し直す)
- 【二次評価の確認】:誰かに相談するなど、対処する方法はないか?(自分の能力や外部のサポートをリストアップする)
この知識が、あなたのストレスとの向き合い方を変えるきっかけになれば幸いです。それでは、今回はこの辺にしたいと思います。
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