「変わりたいけど、変われない」の正体とは?
こんにちは、村田です。
「このままではダメだと分かっているけど、行動に移せない」
「変わりたいのに、どうしても一歩が踏み出せない」
カウンセリングにこられる方は、まさにこうした「変わりたいけど、どうしよう」という葛藤のタイミングにいることが多くあります。
「変わりたい」と願っているのに、なぜ変わることに抵抗を感じてしまうのでしょうか。
今回は、人が問題を感じてから実際の変化に至るまでの「心のステップ」を解き明かす心理学のモデルと、変化を妨げる”心のブレーキ”についてお話しします。
音声で聞きたい人は、スタンドエフエムでお話しているので、聞いてみてください。
あなたの「変化のステージ」は?
人の行動が変わるプロセスを体系化した「行動変容ステージモデル」(ジェームズ・プロチャスカ提唱)という理論があります。これは元々、禁煙の研究から生まれましたが、今ではダイエットや習慣づくりなど、様々な変化に当てはまるとされています。
このモデルでは、変化には5つのステージがあると考えられています。
ぜひ、「自分が変えたいと思っていること(ダイエット、イライラしやすい癖、片付け、勉強など)」を一つ思い浮かべながら、自分が今どのステージにいるか考えてみてください。
第1ステージ:無関心期
「自分には関係ない」「今のままで問題ない」
- 状態: 今後半年以内に、特に行動を変えようとは思っていない段階。
- 特徴: 周囲から「やめた方がいいよ」と変化を勧められても、「自分には関係ない」「今のままで平気」と抵抗を示すこともあります。
- ヒント: この段階では、まずその問題を「自分ごと」として引きつけて考えるきっかけが重要になります。
第2ステージ:関心期
「変えたほうが良いかも…でも…」と葛藤する時期
- 状態: 問題に気づき始め、「変えたほうがいいかな」と思い始める段階。
- 特徴: 変化には負担やデメリットも伴うため、「変えたい」と「変えたくない(面倒だ)」という気持ちが綱引きをしている状態です。半年以内の変化は考えていますが、まだ具体的な計画はありません。
- ヒント: 変化に対するポジティブな動機づけや、そっと背中を押すようなサポートが力になります。
第3ステージ:準備期
「よし、始めよう!」と計画を立てる時期
- 状態: 「1ヶ月以内に始めるぞ」と決意し、具体的な準備を始める段階。
- 特徴: 「どんな方法ならできそうか」を考え、計画を立てます。モチベーションが一番高い時期であり、「これならできそう」という自己効力感(自分ならできる、という感覚)が非常に重要です。
第4ステージ:実行期
行動を「始めた」不安定な時期
- 状態: 実際に行動を始めてから、6ヶ月未満の時期。
- 特徴: この時期は、最もエネルギーを必要とします。「三日坊主」という言葉があるように、挫折したり、元の行動に「後戻り」したりしやすい、不安定な時期です。
- 私の例: 新しい手帳を買うと、最初の1週間は日記や予定を頑張って書くのですが、そのうち「今日はいいか」という日が増え、気づけば手帳の存在を忘れてしまう…ということがよくあります。
- ヒント: 周囲からの応援や、他の誘惑にどう対処するかをあらかじめ考えておくなど、モチベーションを維持する工夫が鍵となります。
第5ステージ:維持期
新しい行動が「習慣」になった時期
- 状態: 新しい行動が定着し、6ヶ月以上継続している状態。
- 特徴: 行動が習慣化し、自信もつきやすい時期です。ただし、旅行や体調不良などで一度習慣が中断した時に、そのまま元に戻ってしまう危険性もあります。
- ヒント: これまで頑張ってきた自分をねぎらい、逆戻りを防ぐ対策を考えたり、次の新しい目標を立てたりすることで、良い習慣を維持しやすくなります。

2つの心理的なブレーキ
この5つのステージは、必ずしも順番通りにまっすぐ進むとは限りません。 実際には、「行ったり来たり」するのが普通です。
人から言われて「関心期」になっても、しばらくすると忘れて「無関心期」に戻ったり、一度「実行期」に入っても、挫折して「関心期」に戻ったり…。
変化とは、そうした行きつ戻りつを繰り返しながら、らせん階段を上るように進んでいくものなのです。
今回のテーマである「変わりたいけど、変われない」という葛藤は、特に第2ステージの「関心期」で強く見られます。
「何回言っても、あの人はどうして変わらないの?」と、家族やパートナーに対して思うこともあるかもしれません。
この「変われなさ」を維持してしまう心理的なブレーキについて、2つご紹介します。
1. 認知的不協和:「考え」と「行動」のズレが不快
心理学者のフェスティンガーが提唱した「認知的不協和」という理論があります。これは、自分の中に矛盾する2つの考え(または「考え」と「行動」)があると、不快な気持ちになる、というものです。
例えば、「脱いだ洗濯物は、洗濯機に入れるべきだ」という考えがあるとします。
しかし、実際には「洗濯物をソファに脱ぎっぱなしにする」という行動をとってしまう。
この「べき(考え)」と「行動」のギャップが、自分の中で不快感(=認知的不協和)を生みます。
人はこの不快感を解消しようとするため、2つの道を選びます。
- 行動を変える →ちゃんと洗濯機に入れる
- 考えを変える →「洗濯物くらい、ちょっと散らかってても平気だ」と自分を正当化する
もし、2番目の「考えを変える」を選び、「散らかってても平気」という考えと「脱ぎっぱなし」という行動が一致してしまえば、不快感は消えます。その結果、行動は永久に変わりません。
どうすればいい?
もし行動を変えたいなら、「考え」の方に、あえて別の矛盾を持ち込むのも手です。
例えば、「散らかってても平気」と思っている人でも、「いい大人が、家族に自分の脱いだ服を片付けさせるのは、さすがにどうなんだろう?」という新しい「考え」が加わるとどうでしょう。 新たな不協和が生まれ、「やっぱり自分で片付けよう」と、重い腰を上げる動機になるかもしれません。
2. 現状維持バイアス:「変化の損失」への恐れ
もう一つ厄介なのが「現状維持バイアス」です。 私たちは、変化することで「未知の何かを失うのではないか」ということを恐れ、行動を変えられない傾向があります。
変化にはコスト(時間、お金、労力)がかかります。 「今のままでは良くないかもしれない。でも、変わろうとして失敗したり、何かを失ったりするよりはマシだ」と、脳が自動的に判断してしまうのです。
どうすればいい?
このバイアスは「変化による損失」を恐れているので、逆に「今の行動を続けることによる損失(デメリット)」を具体的に考えてみることが有効です。
先ほどの洗濯物の例で言えば、行動を変えないことで失うものは何でしょうか? もしかしたら、注意してくれる相手からの「信用」かもしれません。「この人は、何度言っても無駄なんだ」という「諦め(失われるのは期待)」かもしれません。
そうなると、本当に変えたほうがいい別の問題が起きた時にも「言っても無駄だ」と見放され、もっと大きな支障が出てくる可能性もあります。
このように、「今までの行動を続けるメリット」よりも「続けるデメリット」の方をしっかり考えると、変化へのモチベーションが湧いてきやすくなります。
まとめ
今日は、変わるための5つのステップ(行動変容ステージモデル)と、変われなさを維持してしまう2つの心理(認知的不協和、現状維持バイアス)についてお話ししました。
もし今、あなたが「変われない」と悩んでいるとしたら、それは「関心期」という大切なステージで、心の綱引きが起こっている証拠です。
まずはご自身の「心のブレーキ」は何か?を知ることから、変化への一歩を始めてみませんか。
この記事が、何か参考になると嬉しいです。 それでは。
ぜひ、お時間があるときにチェックしてみてくださいね。

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