【コラージュ体験】トンネルの向こうには何がある?

アイキャッチ画像 メンタルケア

初めてのコラージュ体験

こんにちは。
先日、友人がコラージュの体験に来てくれました。

ブログへの掲載も快くOKと言ってくれたので、今回はコラージュとはどんなものなのか、カウンセリングの中でどのように使っているのか、ご紹介したいと思います。(記事内容も本人確認の上、掲載しています)

用意したのは以下のもの。

材料
  • 画用紙 B4サイズ
  • 雑誌2冊
  • 色鉛筆、カラーペン
  • のり、ハサミ、カッターナイフ

コラージュの材料

 

体験に来てくれたのは、30代の男性です。
普段バリバリ働いている彼は、どのような感想をもつのでしょうか…!

最初に、「雑誌のなかで、気になるものや好きなものを切り抜いて、この画用紙の上に好きなように並べて貼りつけてください」と伝えまして、制作開始です。

雑誌を切るのは初めて!

と言いながら、雑誌をめくります。

コラージュ制作風景

制作過程と作品について

最初に切り抜かれて貼られたのは、右端のランプでした。

それから、左下の水の波紋が広がる切り抜き。
用紙の角と切り抜きの角がしっかり合わせて貼ってあります。

そして、トンネル、本棚と貼られていきました。

ピザなどの細かい切り抜きの後、山の切り抜き、スキンケア用品の切り抜きを貼り終えて、「完成!」ということでした。
ここまでで20分ほどでした。

【完成した作品】

コラージュ作品の画像

制作後は、作品について質問をしていきます。

好きな切り抜き、それぞれの切り抜きを選んだときの気持ちなどを聞くことが多いです。今回は、制作過程をなぞるような形で尋ねました。

一番好きな切り抜きは、最初に貼ったランプ。
左下の水の切り抜きも同様に、用紙の「角をとりたかった」そう。

トンネルについて、「あんまり奥には行きたくないかんじ、怖いのは嫌」「周りが楽しそうな雰囲気で、奥がおしゃれなバーになってるとか、そういうのなら行ってみたい」「あんまり意識せず、なんとなく選んだ」と話されました。

本棚については、「本が好きだから。椅子の感じもいい。スピーカーも」。
周りには趣味に合わないものもあったようで、それらは取り除き、許せるものを残しています。

山がデザインされたワッペンも「日の出かな?昇るかんじがいいな」と話されました。
水、化粧品のボトルは、「水の上はもともと他の化粧品の広告になっていて、それを切り除いたが、結局化粧品みたいなのを同じところに貼った」とのこと。

切り抜きを選んだ基準は、「いいな、と思ったもの」「貼ったらいいかんじだと思ったもの」の2種類。

制作後は、タイトルをつけて、裏側に日付、名前とともに記入します。
タイトルは「俺のトンネル」

あまり意識せずに選ばれたトンネルがタイトルにつけられるのも、コラージュの面白みです。

私からのフィードバック

一通り説明してもらった後、私から思ったことや感じたことをフィードバックしました。

全体的な印象としては、ランプや日の出など、強いエネルギーを感じました。
ランプと本棚、化粧品のあたりは自分に近い、近景になっています。
対して、山とトンネルは遠景になっており、トンネルでさらに奥行きが感じられます。

近景の部分はいつもの自分、皆に見せている自分と考えられます。
そして、画面の左側にある山、水のあたりは内的な要素として、自分の中のクリアな、清潔な部分と、上に向かって成長していく欲求が感じられます。
イラストのようにデフォルメされている分、目標については、まだ少し曖昧な部分があるのかもしれません。

そして、トンネルについて。
トンネルは、自分でもまだ見ぬ、より深い部分にある自己像なのかな、と思います。
トンネルの奥に何があるのか、あまり奥には行きたくないが、もし楽しいものなら見てみたいな、と話されていました。楽しい自分と見るのが少し怖い自分という両面性が感じられます。

切り抜きは、大きなものから小さなものが貼られ、それぞれの要素の間を埋める調整役がしっかり自分の中に成立していることがうかがわれます。

フィードバックを含めた感想

最後に、私からのフィードバックも含めて、感想を聞きました。
(と、いうか、ブログへの掲載のために、後日送っていただきました・・・!ありがとうございます!)

1つ1ついいなと思った部分を直感的に貼っただけでしたが、心理士の先生のフィードバックを聞いて、できあがったコラージュには規則性や意味を内包していることを知ることができました。

確かに、近いものと遠くのものが縦に分かれて表現されているというのは制作中には全く気付きませんでした。

人間の意思決定や行動の95%以上は無意識によりコントロールされていると本で読んだことがあります。今回のコラージュでは、なるべく考えず、直感的に切り抜き部分を決めるよう努めました。
それによってできあがったコラージュというアウトプットが無意識(深層心理)を表現しているとすれば、コラージュは無意識を映し出すプロジェクターのような役割なのかもしれないと感じました。

人間の意思決定と行動を大半を司る無意識を知り、プロに分析と対策を教えてもらうことで、より良い人生を送る一助になるかもしれないと思います。

なかなか心理士以外の人にしっかりと感想をいただくことがないので、とても興味深かったです。最後の一文はリップサービスかも・・・笑

カウンセリングの中のコラージュ

コラージュのよさの一つは、自分の中の大切な要素が整理できる点にあるのではないかと思います。

意識的にでも無意識的にでも、バラバラになっている要素を集めて、1枚の画用紙の中に整理して貼り付けます。
その過程で、必要なものとそうでないものを取捨選択すること、それぞれのつながりを手探りで整理していきます。

先の「プロジェクターのような役割」と言われていたのは、まさにここに関わっているのかな、と思います。
心理学でも「投影(projection)」と呼ばれます。

絵を描くなどの芸術療法を提案した際、「何をみて、どんな理解をされるんだろう」と不安な気持ちが出てくることもあります。勝手に情報を抜き取られるみたいな感じがするのかもしれません。

コラージュの場合、材料自体は既成のものなので、表現をコントロールしやすく、抵抗感は小さくなるかな、と思います。

カウンセリングにおいて、いきなりコラージュを導入することはありません。カウンセリングを行う中で、言葉でのやり取り以外のアプローチをとりたいときに提案することが多いです。
そして、一枚の作品だけでなく、複数回の制作を通して変化についても見ていきます。

また、これは描画やその他の芸術療法でも同じですが、カウンセラーが思ったことや感じたことも、必要に応じてフィードバックを行います。
ちょっと違うな、と思ったときは、そう伝えてくださってかまいません。
やり取りを通して、お互いに理解を新たにしたり、新しい発見が生まれます。

終わりに。

最初、体験に来てもらうときはちょっとドキドキでした。

せっかく来てくれたのに、つまらなかったらいやだな、と思っていましたが、楽しんでもらえてよかったです。

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