寝ることに困っている人
十分な睡眠が、健康やメンタルヘルスにとって重要だということは、多くの人にとって周知のことだと思います。
その一方で、十分な睡眠がとれず、困り感を持つ人も多くいます。
普段、寝るのに時間がかかったり、早く起きてそこから寝られない、という人はどのくらいいるでしょうか?
国内に住む約6000人に対して、2018年に厚労省が実施した調査の結果、睡眠で十分な休養がとれていないと答えた人の割合は約20%でした。
もっとも割合が高いのは「30~39歳」のグループで、33.4%にもなりました。
睡眠時間では、「6時間以上7時間未満」の人が男女ともに最も多く、59歳までのそれぞれの年代で7割以上の人の睡眠時間は7時間以内という結果でした。
これらのことから、特に働いている人、子育て世帯での睡眠時間が少なくなっていることがうかがわれます。
睡眠時間は、人によって必要な長さは変わってきますが、業務や子育てでのパフォーマンスを向上させるためにも、睡眠への取り組みを意識して行うことは重要だと考えられます。
他の、約1万人を対象にした調査によると、6割~7割の人が「日中に眠気を感じ、仮眠を希望している」という結果でした。
特に、「20代の経営者・役員」「20代の職業運転手」のグループは睡眠時間が短くなっていました。
人によって必要な睡眠時間は異なりますが、日中に眠気を感じないことが一つの目安になります。そのためには、やはり7時間~8時間程度の睡眠は必要になってくると考えられます。
- 十分な睡眠がとれていないのは、30代で約3割
- 59歳までの7割以上の人が睡眠時間 7時間未満
- 働いている人、子育て中の人、20代の経営者・運転手は睡眠時間が短くなりやすい
夜になると眠くなる理由
そもそも、夜になると眠たくなるのはなぜなのでしょうか?
これには、脳の松果体から出される「メラトニン」という眠気を誘発するホルモン物質が関わっています。
人の体内時計は、朝の光を浴びることでリセットされることはよく知られていることですよね。
この朝の光を浴びてから約14時間後にメラトニンが分泌され、約2時間かけて最大になります。
例えば、朝7時に起きて活動する場合、14時間経った夜9時頃に分泌され始め、23時頃に分泌量が最大になり眠気を感じるようになります。
起きてから15時間が経過すると、お酒を飲んで酔っ払った酩酊状態と同じくらいのパフォーマンスになると言われています。
ここにもメラトニンの分泌が影響しているのかもしれません。
その一方で、強い光はメラトニンの分泌を抑制して、眠りを妨げます。
夜遅くまでPCやテレビを見たり、ベッドでのスマホが睡眠に悪影響を及ぼすのはこういう理由からなんですね💡
眠れないときについついしてしまう対処法
いざ寝ようと思っても、なかなか寝付けず寝返りをうつばかり・・・
そんなとき、皆さんはどうしているでしょうか。
以下のような対処をしてしまっていないでしょうか?
- 眠くなるまでベッドでゴロゴロ
- 眠れないのでスマホで動画を視る
- 明日の予定やToDoを考える
- 眠気を促すためにお酒を飲む
これらの対処法は、良くないとわかってはいても、いざ「眠れない…」となるとやってしまいがちなものでもあります。
「早く寝ないといけない」「もう寝ないとやばい」といった焦りやイライラした気持ちになると、胸がドキドキしたりして、余計に目が冴えてくることも・・・。こうした睡眠に対する義務感は快適な睡眠を遠ざけてしまいます。
「眠れないなあ…」というときは、こうした対処の替わりに、次のような対処法を試してみましょう。
快眠を遠ざける習慣から、快眠習慣へ!
- 眠れないときは一度ベッドから出て、眠くなってからベッドに戻る
- スマホではなく、小さい照明をつけて本を読む
- 考えごとをしてしまうときは、そのことを紙に書き出して寝る
- 白湯やノンカフェインのハーブティーを飲む
以下では、それぞれの理由を簡単に紹介していきます。
1 眠くなるまでベッドでゴロゴロ ⇒眠れないときは一度ベッドから出る
職場に行くと、自然と仕事モードになったり、家のソファではリラックスモードになったりしますよね。
その理由は、「特定の場所」と「特定の行動」がセットになって脳にインプットされているからです。
睡眠に関して、この働きをうまく使うためには、「ベッド」=「寝る場所」と脳に覚えこませることが大切です。
眠れないからといって、長い時間ベッドでゴロゴロしたり、スマホを触ったりしていると、「ベッド」=「ゴロゴロする場所」、「スマホを触る場所」と間違えて覚えてしまうことになります。そしてベッドに入ると、眠くなるどころか、目が冴えてしまう、という悪循環になってしまうことも。
そのため、ベッドに入ってしばらくしても寝れないなあ、というときは、思い切って一度ベッドから出るようにしましょう。
他の部屋でソファに座ってもいいですし、小さな明かりをつけて本を読んでもよいでしょう。
テレビを見たり、ハラハラするような本を読んだり、脳が興奮するようなことは避けてください。
しばらくして、眠くなってきたな、と思ったときにベッドに戻りましょう。
2 眠れないのでスマホで動画視聴 ⇒スマホではなく、読書に
これも一つ目と同様です。
眠れないと、どうしても暇を感じてスマホを触ってしまいがちですよね。
ベッドは寝る場所で、スマホを触る場所ではないことを脳に覚えこませましょう。
また、読む本はハラハラドキドキするようなものではなく、静かな展開のものや、少し難しい内容のものがよいでしょう。小さな明かりをつけて、落ち着いた気持ちになれる本で試してみましょう。
スマホの悪い点は、強い光によって睡眠物質であるメラトニンの分泌を抑えてしまうことです。できれば、ベッドに入る1時間前にはスマホの使用をやめましょう。
3 明日の予定やTo Doを考える ⇒考え事は紙に書き出す
「明日は○○をしないといけない」「明日は早く起きなければ」
「明日の準備はちゃんとできているだろうか」
などと考えていると、不安な気持ちが生じやすく、頭が冴えてきます。
不安に思ったことや、明日しないといけないことを思い出したら、ササっとメモして書き留めておきましょう。
そうすることで、「あれをしなきゃ」という思いを安心して心から手放すことができます。
考え事も同様です。
「今日こんなことがあったな」
「あの時に言ったことで相手を嫌な気持ちにさせてないだろうか」
「あの人はなんであんなことを言ったんだろう」
などなど・・・。
ベッドの中では色々なことが頭に浮かんでくることがあると思います。
気になってドキドキしたり、同じことをグルグルと考えてしまったり。
枕元に手帳やメモを置いておき、頭の中にあることを書き出して、「考えるのは明日以降にしよう」と唱えてみましょう。
そして、また明日になったら「明日以降に考えよう」と唱えましょう。
4 眠気を促すためにお酒を飲む ⇒白湯やハーブティーを飲む
寝る前にお酒を飲む人はどのくらいいるでしょうか?
最近では少ないかもしれませんが、睡眠の話題とアルコールの話題は必ずといっていいほど、セットになっています。
実際、お酒を飲むと一時的には眠気は強まります。飲み会があった日などは、気絶をするように眠りについたけど、数時間経って、のどが渇いたりトイレに行きたくなったりして起きた、という経験をした人も多いかもしれません。
これは、アルコールの消化の過程に関係しています。
アルコールを分解する過程で、アセトアルデヒドが発生します。このアセトアルデヒドによって深い睡眠(ノンレム睡眠)が妨害され、眠りが浅くなります。そして、脱水症状になりやすいことで夜中にトイレに起きやすくなります。このような理由から、お酒を飲むと、睡眠の質が下がることが言われています。
眠れないときには、お酒の替わりに、白湯やハーブティーを飲むと、体が温まり、リラックスできるのでおすすめです。
暑くなってきた今のような時期には、常温のお水でも気持ちがすっきりして、眠りにつきやすくなると思います。
以上、4つの方法をご紹介しました。
ぜひ取り入れてみてくださいね。
疲れと睡眠の関連
人の身体は、疲労に対する恒常性を保つために睡眠の欲求が高まります。
寝にくい日は、日中にあまり動かず、疲れていない日だったりしませんか?
特に日曜日の夜に寝にくい、という人は
土曜日に夜更かしをして、日曜日の朝(昼前に)ゆっくり起床。
見たかった動画をみたり、本を読んだりして一日家で過ごす。
という一日を過ごしていたりしないでしょうか?
しっかりとした睡眠が必要なほど疲れがたまっていないと、体からの「寝たいな」という信号も弱くなります。
今日はあまり疲れてないな、という日は、近くを散歩したり、エレベーターではなく階段を使ってみたり、家の中を掃除して体を動かしたりして、活動量を増やしてみましょう。
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